松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

金市場

 NY金は、ドル安の流れを背景にこの4週間で75ドル幅ほど上昇しました。そして、4月17日の高値(1294ドル)や6月6日の高値(1295ドル)まであと23~24ドル幅にまで迫ってきました。それによりそろそろ高値警戒を強める必要もありそうです。

 世界最大の金ETFであるSPDRゴールド・シェアーズの金現物保有量は、この2か月間で63トンほど減少しております。そして、SPDRゴールド・シェアーズの金ETFからの7月の資産流出額が24億ドルに達しました。NY金は、ドル安を背景に4週間前から上昇基調を続けてきたものの、金ETFからの資金流出額が急増していることから、下落基調に転じる可能性が高まってきたように感じられます。

NYダウは、2008年5月頃から2009年3月にかけて6100ドル幅ほど暴落し、その暴落が「リーマンショック」と呼ばれました。しかし、NYダウは、2009年3月の安値から1万5500ドル幅ほど上昇しており、リーマンショックによる下げ幅の2.5倍ほどの上げ幅を記録しております。そして、昨夜のNYダウが72ドル高の2万1963ドルまで上昇して6連騰となり、6営業日連続で最高値を更新し、2万2000ドルの大台まであと37ドル幅に迫りました。

NYダウの6連騰や2万2000ドルの大台目前にまで迫ってきたことにより、そろそろ米国株への高値警戒も必要となりそうです。そして、金ETFからの資金流出額が急増していることや、NY金が4月や6月の高値まであと23~24ドル幅にまで迫ってきたことを受けて、そろそろ東京金に対する弱気な見方も一考かもしれません。
NY金の日足
NYダウの月足
金ETFの金現物保有量

 

※チャートの情報提供元は(株)エムサーフです。チャートの著作権は、(株)エムサーフに帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、株式会社エムサーフは一切の責任を負いません。


金市場

 世界最大の金ETFであるSPDRゴールドシェアの金現物保有量は、6月13日の867トンから7月24日の809.62トンまで57.38トン減少し、金ETFの手じまい売りが急増しております。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数は、6月6日時点の20万4465枚から7月18日時点の6万138枚まで14万4327枚も減少しました。ファンドの買い越し枚数が6週間ほどで7割ほど大幅減少したのですから、買い方ファンドの失望売りが急増したようです。

 先月から金ETFの手じまい売りが急増しており、NY金におけるファンドの買い越し枚数も激減しております。それに反してNY金は、最近のドル安の流れを好感して月初から50ドルほど上昇しました。しかし、金ETFの手じまい売りやNY金における買い方ファンドの手じまい売りが急増してきたことを考えると、金相場に関して弱気な見方も一考かもしれません。
金FTE現物保有量
NY金のファンドポジション

金市場

 先週末のNY金は、米雇用統計発表を受けたドル高に圧迫されて1208ドルまで下落して取引を終え、5月9日の安値(1214ドル)を割り込み、3月10日の安値(1196ドル)まであと18ドルに迫りました。

先週末発表された6月の米雇用統計の非農業部門雇用者数は、17.8万人増予想に対して22.2万人増となり、前月の13.8万人増を上回りました。それにより米利上げ観測が高まり、ドル高基調が続いております。

 CFTCから先週末に発表されたNY金におけるファンドの買い越し枚数は、前週比3万7873枚減の9万3799枚となり、4週間で11万666枚減となりました。SPDRゴールドシェアの金現物保有量は、7月7日時点で835.35トンとなり、5営業日で18.33トン減少しました。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数がたった4週間で半分ほどにまで減少し、今年最低の買い越し枚数となりました。SPDRゴールドシェアの金現物保有量も4カ月ぶりの水準まで減少しました。そして、米10年債利回りは、8営業日中7営業日で上昇し、米国の利上げ観測の高まりと共に長期金利の上昇が続いております。それにより、「金利のつかない金投資」が嫌気されております。米10年債利回りが3月の高値水準である2.6%付近まで上昇する可能性もあるだけに、NY金の更なる下落に警戒が必要かもしれません。


NY金におけるファンドポジション
金ETFの金現物保有量
NY金の日足
NY金の日足
米10年債利回りの日足
米10年債利回りの日足

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金市場「金相場の豆知識」

 米政策金利は、2004年前半は1%で推移しておりましたが、2004年6月から上昇基調に転じ、2006年5月時点で5.25%まで上昇しました。その間のNY金は、390ドル付近から600ドル付近まで上昇基調を続けました。米政策金利が2年間も上昇基調を続けましたが、それでもNY金が上昇基調を続けた要因は、金ETFの台頭でした。世界で初めて金ETFが生み出され、それが金相場を一変させました。

2002年のロンドンのゴルフ場にて、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の最高経営責任者(CEO)のバートン氏とワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のトンプソン会長がゴルフをしておりました。トンプソン会長は、バートンCEOに対して1ホール目から「金ETF構想」の説明を行いながらプレーを続けました。そして、雨降る17番ホールでバートンCEOとトンプソン会長がある事を賭けてマッチプレーを始めることになりました。その結果、17番ホールのマッチプレーでトンプソン会長が勝利しました。それによりトンプソン会長は、バートンCEOに対してある提案を受け入れさせました。その「ある提案」とは、「金の延べ棒をニューヨーク証券取引所で取引できる証券に分割する事」であり、それが「金ETF」の始まりとなりました。それまでの金相場は「20年間の長期下落トレンド」を形成し、東京金は1グラム=1000円台を割り込む場面もありました。17番ホールで負けたカルパースのバートンCEOは、WGCトンプソン会長の提案を受け入れ、その後、この2人がリーダーシップをとり、WGCが設定した信託は金に裏付けされた上場投資信託(ETF)として米証券取引委員会(SEC)に承認されたといういきさつがあります。その後の金ETFの急拡大が、金価格を8年間で5~6倍にまで上昇させた主要因となりました。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)とは、世界の主要金鉱山会社によって構成される非営利団体であり、その当時の新会長のトンプソン氏が、それまで20年間も長期ダウントレンドを続けていた事の打開策の為にカルパースのバートン氏を、ロンドンのゴルフ場まで呼び出し、雨の17番ホールでバートン氏とのマッチプレーにて大きな「賭け」をもちかけたのです。こうして生まれた金ETFですが、世界の10大ETFの金保有量がピーク時で2000トン強となり、米国やドイツ、イタリア、フランスを除くどの国の金準備保有量よりも多くなりました。2002年のロンドンのゴルフ場における「雨の17番ホールでのマッチプレー」の結果が、8年間で金価格を4~5倍にまで高騰させる主原因となったことを知る投資家は少ないのかもしれません。

世界最大の金保有量であるSPDRゴールドシェアの金保有量は、2013年1~2月に1600トン強にまで膨れ上がり、NY金も1700ドル付近まで上昇しました。しかし、金保有量が2013年7月ごろから1000トンを割り込み、それに伴いNY金も1700ドル付近から1200ドル付近まで下落しました。

著名投資家のジョージ・ソロス氏などが金ETFを買い進んだことが有名となり、SPDRゴールドシェアの金保有量が昨年3月ごろから7月ごろにかけて、800トン付近から1000トン付近まで膨れ上がりました。それと共にNY金も1050ドル付近から1350ドル付近まで上昇しました。しかし、金保有量が昨年11月ごろから今年の1月ごろにかけて、960トン付近から780トン付近まで減少すると、NY金も1300ドル付近から1150ドル付近まで下落しました。

現在の保有量は860トン付近で推移しており、6月6日~8日で計16トンも急増しましたが、6月9日時点で増加ペースが止まりました。まだ金ETF保有量の増加基調は本調子でもないようです。
米政策金利とNY金
金ETF保有量

金市場

 ドル円は、昨日24時ごろに1ドル=109.2円付近まで下落しましたが、コミー氏が本日の上院特別情報委員会で行う証言内容が公開されると1ドル=109.8ドル付近まで上昇しました。内容は予想の範囲内であり、それほど深刻な内容もなかったことから、リスクオフの流れが弱まり、金売りの流れが強まりました。NY金の電子取引は、昨日24時ごろに1298ドル付近まで上昇しましたが、現在は1288ドル付近まで下落しております。

 8日に実施される英総選挙やECB政策会合、コミー氏の議会証言などのビックイベントを前にリスクオフの流れが強まり、NY金が上昇を続けてきました。しかし、コミー氏の議会証言に対する不透明感が昨夜から薄らぎました。これで、本日実施される英総選挙やECB政策会合でも特に変わったことが無ければ、リスクオフの流れが更に弱まり、NY金が下値追いを強める可能性もあります。

原油市場パート3&金市場パート2「イスラエルの米大使館移転問題」

 トランプ大統領の中東諸国への外遊が終了しました。そして、「イスラエルの米大使館のエルサレム移転案」に対してオバマ前大統領が最後に署名した「半年間の凍結案の大統領令」が今月末で効力を失います。それに対して、トランプ大統領が今月末までに「半年間の凍結案の大統領令」に署名するかどうかに注目が集まっております。

 トランプ大統領の娘のイバンカ氏は、結婚してイスラム教に改教しており、その夫のクシュナー氏は、正当イスラム教徒です。そしてイバンカ夫妻は、昨年の米大統領選でユダヤ票を多く集めた時の公約の1つが、「イスラエルの米大使館のエルサレム移転」でした。そして、イバンカ氏は、僅差で大統領選を制した功労者とされております。更に、シュクナー氏は大統領上級顧問であり、イバンカ氏は大統領補佐官です。

 トランプ大統領は、今回の中東外遊で「中東平和」と何度も述べておりましたが、イスラエルとパレスチナの訪問では、かなり態度が違ったようです。トランプ大統領は、イスラエルでの演説で、「私の政権は常にイスラエルの側に立つ」と述べ、ネタニヤフ首相や聴衆の喝采を浴びました。一方、パレスチナ訪問では、パレスチナ側の最も関心が深い「2国共存」と「ヨルダン川西岸のユダヤ人入植問題」に付言しませんでした。

トランプ大統領は、2月のイスラエルとの首脳会談で「イスラエルとパレスチナの2国共存にこだわらない。」と述べました。歴代米大統領で初めて「2国共存にこだわらない」と述べたことにより、「イスラエルの米大使館のエルサレム移転」の可能性が高まりました。トランプ大統領は、今回の中東外遊で、中東平和を求める発言を多用しているものの、イスラエルとパレスチナの訪問では、かなり温度差が大きかったようです。トランプ大統領が、「イスラエルの米大使館のエルサレム移転案」に対する「半年間の凍結案の大統領令」に今月中に署名しなければ、テルアビブにある米大使館のエルサレム移転の作業が始まります。そうなれば、中東の地政学的リスクが高まり、原油や金が上昇する可能性も高まります。これからの中東の地政学的リスクに注目して原油相場や金相場を考えることも一考かもしれません。

金市場

 東京金は、5月8日に60円幅ほど急落する場面もありましたが、それ以外は小動きを続けており、方向性があまり感じられません。ドル高に反応してNY金が下落すれば円安が相殺し、ドル安に反応してNY金が上昇すれば円高が相殺するパターンが続いており、NY金に比べて東京金の値動きが小さくなる傾向も続いております。

 世界最大の金ETFであるSPADゴールド・トラストの金保有量は、8営業日連続で全く変化しておらず、4月下旬ごろからあまり変化しておりません。こうした金保有量の増減がほとんどないことからも、金投資に関心を示す投資家が少ないようです。米国株が幾度となく高値更新していることを考えると、こうした環境で「リスクヘッジ銘柄」に注目することは難しそうです。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数は、この1か月間で20万枚付近から15万枚付近まで減少しました。米国株を中心としたリスクオンの流れが強まっていることから、金投資を減らすファンドの動きが続いております。しかし、先月からNY金が下落基調を続けているものの、先月からの円安基調が相殺するかたちとなり、東京金は小動きを続けております。しばらくは、値動きの大きな銘柄に注目した方がいいのかもしれません。

今後、米国株が大きく下落してリスクオフの流れが強まると、NY金が上昇する可能性も高まりますが、その反面、円高が進む可能性も高まります。そのあたりが円建て銘柄となる東京金の分析の難しいところでしょうか。

 NY金のファンドポジション
金現物保有量

後場市況1&金市場パート2

 NYダウの電子取引は、37ドル安付近で推移しており、少しリスクオフの流れとなっております。ドル円は、今朝から小動きです。NY原油の電子取引は、9時頃から46.8ドル付近で小動きを続けておりましたが、この1時間で50セントほど下落しました。NY金の電子取引は、10時ごろから小動きです。日経平均株価は、450円高の1万9895円で取引を終え、2万円の大台まであと105円幅に迫りました。

 東京金は、3月上旬からじり高基調を続け、2か月間で100円幅ほど上昇しました。しかし、本日の日中取引で62円安となり、2か月半間の上げ幅の6割ほどをたった1日で失うことになりました。このテクニカルの変化は、大きなシグナルとなりそうです。6月のFOMCで利上げが実施されるとの見方が高まってきたことから、金相場は、6月のFOMCに向けて軟調地合いを続ける可能性もあります。


東京金の日足
東京金の日足

 

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ColumnAward 2015特別賞

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